吉野の四季/平沼田の春
陽光いっぱい、古田荘
このあたりは昔、吉野郡古田荘と呼ばれた地域で
ここには平沼田村、百谷村、湯川村、奥谷村、夜中村の5ヶ村と、
この5ヶ村から分村していた赤松村、新子村、大堀村、長谷村があった。
この村々が御領荘の唐戸村、八ツ川村、小古田村、鹿場村、尼ヶ生村、南山村、汗入村と、
明治21年9月30日の市町村制施行で合併。白銀嶽に因んだ白銀村が誕生した。
昭和38年には賀名生村、宗檜村、白銀村の三村合併で西吉野村となり、
さらに平成17年、大塔村と共に五條市に併合され現在に至る。
奈良県五條市西吉野町
淡いピンクに染まる(平沼田の梅畑)この辺りは富有柿と青梅が栽培されている。向うの小山は百谷地区 |
五條市西吉野町は、全国的に富有柿の産地として名高いが、青梅の出荷量も奈良県では一番多いそうである。この青梅の花は白色で、西吉野の梅林の大部分を占めている。 梅の名所として有名な「賀名生梅林」の梅も、そのほとんどが青梅として出荷するこの白い花をつける種類である。 賀名生梅林は、西吉野町北曽木にあり、二万本もの梅が咲き誇る素晴らしい景観で、毎年多くの観光客が訪れる名所になっている。 ちなみに昭和三十八年刊の『西吉野村史』によれば、――明治14年の「大和国町村誌集」に、賀名生北曽木に青梅二十石の記事がある――と見えるので北曽木では明治14年、既に栽培されていたらしいことが分かる。 また同村史に載っている昭和34年12月役場調べの「畑作物栽培面積」の表を見ると、梅の栽培面積は、平沼田が一番多くて506畝、続いて二番目に多いのが北曽木の384畝、三番目が奥谷の143畝となっている。 |
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梅色に染まる銀峯山北麓 | 老木も芽吹きはじめる |
3月7日、西吉野方面へ観梅に行った。前日五條市西吉野支所に開花状況を確認すると「満開」と聞いたからである。 昨年もこの時期、3月5日の啓蟄の日に賀名生梅林へ行ったのだが、あいにく蕾みは未だ硬く、あえて言えば一分咲き程度だった。特に寒い日が多かったからだそうで、例年になく遅咲きだった。 それで今年は開花状況を確認してから行った訳である。 まず、百谷地区に行った。山の上に上り南方の平沼田地区を眺め、それから平沼田地区、湯川地区、奥谷地区と廻った。どの地区も八分咲きから満開だった。ドンピシャの見ごろである。所々で三脚と大型カメラを担いだ人たちが何人も梅林に踏み込んで撮影しているのを見かけた。 途中、花梨の老木が芽吹き始めていたのが印象的だった。 帰路に賀名生北曽木の「賀名生梅林」をに立ち寄った。昨年とは一変してここも満開で、さすがに梅の名所と言える素晴らしい眺めが堪能できた。 |
平沼田(ひらんた)の梅畑 淡いピンクと白の梅花が咲き競う |
吉野の四季/平沼田の春 平成21年3月10日掲出 戻る