吉野の四季/白銀岳の冬

遠景に霞んで見える金剛山

▲白銀岳から北方の眺望 (採り残された柿の実越しに、五條市が一望できる)

今年の初詣は、1日未明から地元の住吉神社へ参拝した。
2日は朝から吉野方面へ行く。大阪から371号線で紀見峠を抜け橋本市を経由して
五條市に入り、吉野川に架かる大川橋を野原町に渡って丹原から西吉野白銀岳に向う。
この山は吉野三山の一つで、銀峯山ともいいい標高は612メートル。
最初の行く先は、この山頂にある波宝神社である。

五條市西吉野町は富有柿の産地として有名だが、もちろん平種(核)無柿や干柿も生産している。
柿の種類は大きく別けると、甘柿と渋柿に区別され、富有柿や次郎柿、御所柿などは「甘柿」。
平種無柿や刀根早生柿、筆柿などは「渋柿」に分類される。
西吉野の名産、富有柿は11月初旬から12月初旬が収穫期でこの頃の柿は最も味が良い。
上の写真の中央にそそり立つのは、干柿にする筆柿類の一種、渋柿の木である。この柿は、富有柿の出荷が終わるとすぐ収穫して皮を剥き、細縄に付けて軒下に吊るし、寒風に晒すと甘柿に変じる。
この渋柿は取り残されたままでも、木の上で霜や雪、寒風に晒されていると甘くなり、食物の無くなった頃のカラスや野鳥の結構な餌になる。また、この渋柿の葉は近年、初夏に収穫されて「柿の葉寿司」に大量に用いられている。
この他、昔は子供たちのおやつになった小さな実の甘柿もあった。
干し柿用の渋柿は長い尖った顔をしているが、この甘柿は丸い顔をしている。この柿の木は特に大木になり、それも上のほうの陽がよくあたる箇所に生る実が美味しいので、子供の頃はどんどん上まで木をよじ上がり採って食べたものである。
近頃は子供達にも見向きもされなくなり、おのずとこの柿の大木も伐採されたか見られなくなった。
昨今よく見かけるのは、干柿用の渋柿ばかりである。
しかしそれも農村の過疎化で手が回らず、この上下の写真のように取り残されたまま、鳥にも食べられず地面に落ち朽ちてしまうようである。
白銀岳より南方の眺望 黄金岳・展望台より南西の眺望


奈良県五條市西吉野町夜中銀峯山
撮影:平成21年1月2日

雪景色の中の柿の実(八ツ川地区) 波宝神社・本殿(北側側面より撮影)


1月2日、白銀岳は雪化粧に覆われ、
城塞のように山頂の最高所に鎮座する波宝神社も白装束に衣替え。
神殿前の広庭には大丸太の焚き火が燃え、その周りだけが黒い土が見えていた。
山頂の広場には、地元の人々の車と思しき軽貨物の四駆が次々と参詣に来る。
普通乗用車は大鳥居前に駐車して、そこからは歩くほうが無難のようだ。
5センチほどの積雪がある境内を拝殿まで上り、まずは参拝。
社務所で神符を頂いて帰った。

この日、波宝神社、波比売神社、丹生川上神社下社の3社に巡拝した。


吉野の四季/白銀岳の冬  平成21年1月5日掲出   戻る