吉野に坐す神 |
金網で護られた極彩色の 本 殿 |
当社は、吉野川・千石橋すぐ下流の左岸、河岸段丘の南側高地に鎮座している。社殿は北に正対しており、社地から吉野川を挟む下市と大淀の中心部を一望できる立地である。ここは“新住”と表記して「あたらすみ」と呼ばれている地名だが、この地名は新居(アライ)、今来(イマキ)に通じる地名と考えられ、古代に渡来人達が集住した地域だと思うのだがどうだろうか。現在は八幡神社となっているが、元は彼らが先祖神を奉斎していたのだろうと推定できる。 それにしても、この神社に参詣して驚いたのは本殿のたたずまいだった。一段と高い位置にある本殿は、頑丈な鉄骨構造の覆屋ですっぽりと蔽われていて、更に鉄格子のある網戸で何者の侵入をも許さないとばかりに防護されている。 しかも、鉄格子の合わせ目は封印でもするかのように、奇怪な紋章のようなものが描かれているのである。そしてその紋様は何か異族の守護神のようにも見える。覆屋は新しいので、昔から伝わる文様をそのまま真似て描いたのであろうか。動物の顔のようでもある。まったく今まで見たことのない図柄に興味が引かれてならなかった。 『奈良縣吉野郡史料』には――― 「八幡神社ノ新住ニアルモノ祭神ヲ應神天皇トシ創立年月日不詳村社」とみえる。 |
拝殿に至る参道 | 最上部、覆屋に護られた 本 殿 | |
境内入口・参道 | 本殿前から見下ろした割拝殿 |
よしのにましますかみ 吉野に坐す神 平成23年11月24日掲出