金剛山 葛木神社 かつらぎ

祭 神:一言主大神,後醍醐天皇,楠木正成
鎮座地:奈良県御所市高天


当社の祭神は一言主大神である。創祀年代は不詳であるが、「葛木家系譜略」には山神・山主権現社とあり、
弘和元年(1472)再興、文明4年に焼亡し、翌5年に再建したと記されている。貝原益軒の『南遊紀行』に、
「絶頂には葛城の神社あり、一言主の神といふ」とある。
現在は金剛山守護神の葛城38社を合祀している。       ― 『日本の神々』4.大和 ―



一般的に「金剛山」と呼ばれているものの、その名の山はなく、大日岳・葛木岳・湧出岳の三峰の総称である。そのなかでの最高峰が、この葛木神社のある葛木岳(1,125m)で、古くは高天山と呼ばれていた。山上に金剛山寺が建立されてから金剛山の名が使われるようになったようである。
『日本霊異記』に、役小角が鬼神に金峯山と葛木山の間に橋を架けよと命じる説話があるが、葛木山が修験道の開祖・役行者小角との結びつき考えさせられる。事実、葛木山は奈良・平安時代以降、金峯山同様に山岳宗教の聖地となり、天台・真言の修験道場の地とされ、明治初年までは女人禁制の山であった。
葛城山、葛木神社の主祭神“一言主神”は、記紀にも登場する。
『古事記』雄略天皇の条では、天皇と一言主が大和葛城の山で出会う。そのとき天皇の問いかけに対して、「吾は悪事も一言、善事も一言、言い離つ神、葛城の一言主の大神なり」
と答える。大神が名乗ると天皇は畏敬して、帰途には見送ったことが書かれている。この一言主は葛城氏の先祖神であると思われるが、この時点での天皇と葛城氏の力関係を示しているものとも取れる。この「一言主大神」を祀るのが、葛木神社である。

かみがみのましますもり  続・神々の坐す杜  6.平成19年10月21日掲出


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