隣国と古代ヤマト

朝鮮語(韓国語)に興味を持ち始めたのは東京生まれの韓国人女流作家、李寧熙氏の著作『もう一つの万葉集』文芸春秋社刊を読んでからだ。

あの万葉集が古代韓国語で解読できるという。
 もう十年以上も前のことだ。正に驚きだった。氏によれば「万葉集はそのほとんどが古代韓国語で詠まれております」という。この本を読み進むうち、「あ、そのような解釈ができるのか、そうだったのか」と納得させられるようなことが多く書かれてあり驚かされた。興味を覚えて同氏の作品続けて読んだ。「枕詞の秘密」、「天武と持統」などである。 三著作とも万葉集の解読を主なテーマとして書かれてあり、万葉仮名で書かれた歌の中で、今まで難解で不詳・未詳歌とされてきた歌でも、古代韓国語ですんなりと解けるという。

さて、ではどんな方法で解読するかというと、「吏読」といわれる漢字借用音訓表記法から解読するらしい。つまり万葉集は、古代韓国語を漢字の音訓を借用して表記しているのだそうである。その具体的な解読方法はここには書かないが、韓国語が分かれば理解できるようである。そのようなことから、以前より隣国の韓国に興味を持ち、またその言葉もいつかは学んでみたいと思った。

私は古代史好きである。特に日本の飛鳥時代に興味があり、日本書紀や古事記などを勉強している。古い史実を探し求めると、どうしても大陸との接点・交流路である半島のことを知る必要がある。古代大和の政権の中枢はその大部分が渡来人達によって占められていたと考えられる。特に飛鳥地方は少なく見ても七割以上の人口が渡来人によって占められていたとも云われている。
 大体「渡来人」という言い方もおかしいのかも知れない。もともと日本は単一民族国家などではなく、日本は多くの民族が混血した混血人がすむ多民族国家であるといえよう。

私達の血の中には韓国人をはじめ、多くの隣国人の血が混ざっている。それにもかかわらず諍いが多くあった歴史がある。現代においても隣国との間には様々な誤解や偏見が残っていて、完全な和解はなされていない。国家間で相互理解を育むためには、まず言葉の理解から始めなければならないのではないか。

韓国語を学び、ある程度わかるようになって韓国を訪ねてみたいと思う。好きな古代史を勉強する上でも、韓国語は必要であるし、このことにより古代史の理解は進むかもしれない。また「最も近くて遠い隣国」といわれている韓国に、同じ古代史を勉強している友人ができれば、より韓国への理解が深まる。また相手にも日本を理解してもらえることに役立つだろう。このような民間の個人レベルからでも友好関係を築いてゆけば、国家間の友好にも間接的に繋がっていくのではないだろうか。

昨今の韓流ブームで、以前より韓国に興味持つ人が多くなり、ハングルを勉強している人たちが増えているようである。
 言葉を理解することは相互に相手国の文化を尊重することにつながる。交流の輪が広がることに期待したい。

平成18年1月31日 マルヤ